伊勢神宮(-JINGU-)◆ 上御井神社(KAMINOMI-NO-JINJA)
創建年
- 不明
建築造り(井戸上「覆堂」)
- 切妻造
- 平入
※神明造り
屋根造り
- 二重板葺き
主祭神
- 上御井鎮守神
社格
- 伊勢神宮・外宮(豊受神宮)「末社」
上御井神社の読み方
伊勢神宮の境内には、読みにくい名前のお社などがありますが、ここ上御井神社の読み方は、「かみのみいのじんじゃ」と言います。
また、上御井神社には別名があり、地元では古来から「忍穂井(おしほい)」とも呼称されてきたようです。
「上御井」の名前の由来
上御井神社とよく似た名前の神社に「下御井神社」という名前の神社が同じ外宮宮域内の、しかもほど近い距離にあります。
「上御井」の名前は単純に鎮座場所としての標高の上下ではなく、「下御井」よりも立場が上だとの意味合いが込められて付されたものです。
現在、外宮の御正宮へお供えする水はこの上御井神社の井戸から汲み上げられていますが、万が一、上御井神社の井戸が枯渇した場合に、はじめて下御井神社の井戸が汲みあげられます。
つまり、使用頻度や重要度としては上御井神社の方が下御井神社を上回るので、このように名前で上下が示されています。
上御井神社の御祭神「上御井鎮守神」
上御井鎮守神は、上御井神社の御水を守護する神様です。
したがって、井戸のお水にお宿りされています。
上御井神社と似たような名前や社殿の形状まで似た神社に「下御井神社(しものみいじんじゃ)」があります。
この2つのお社見た感じは、まったく区別が付かないほどにソックリだと言われています。
ちなみに神宮では、御水を「みもい」とも呼ぶようです。
上御井神社と下御井神社の違い
- 御祭神が違う
- お賽銭箱が上御井神社はなく下御井神社はある
- 場所は近いが少し離れた場所に造営されている
- 上御井神社は一般の方が参拝できない
- 垣根の数が上御井神社は2重。下御井神社は1重。
- 祭事などでは先に上御井神社の御水が使用される。
などが違いになります。
下御井神社にも井戸があって、同様にその井戸に神様がご鎮座されており、その神様の名前を「下御井鎮守神」といいます。
この神様も上御井鎮守神と同じく井戸の御水にお宿りしている神様です。
この2つの神社は、実は距離も「目と鼻の先ほどの距離」に位置しているのですが、上御井神社の方だけは、一般の参拝客が立ち入ることができない場所にあります。
上御井神社へ通じる参道は鉄柵で遮られており、それ以上、通行ができません。
一方、下御井神社は一般に参拝客でも参拝できるように、開放されており、お賽銭箱が設けられています。
上御井神社の歴史・由来
上御井神社は「藤岡山の麓」にある神社です。
上御井神社の井戸の御水は、神宮の外宮での一大行事でもある「日別朝夕大御饌祭」での、「御饌(神様へささげる料理)」を調理する際に、必ず必要とされます。
他にも、神様に捧げるための「御料水」や「神酒」を醸造する際の御水としても使用されているようです。
上御井神社へは神職の方が、毎日、おおよそ桶1杯程度、御清水を汲みに訪れます。
これらのことから、上御井神社は外宮の行事には欠かすことのできない、非常に重要な神社となります。
したがって、所管社ながら扱いが厚遇されており、外宮の祭事の時には、この上御井神社へもご祈祷がされます。
えぇっ?!上御井神社の井戸は高天原につながっているぅ??
この上御井神社の井戸ですが、立ち入り禁止されている理由の1つとして、天照大御神のあらせられる「天界の高天原」につながっていると言う伝承もあるようです。
現在では以下のような2つ説が伝えられています。
天照大御神が上御井神社の井戸を作った説
「天孫降臨(てんそんこうりん/神々が地上へ降ること)」の時に、天照大御神が高天原に湧き出る「天忍穂井(あめのおしほい)の長井の水」と呼ばれる井戸水を「日向・高千穂の井戸」へ注ぎ込み、そこからさらにかつて豊受大御神が鎮座した「丹波(丹後半島)の真名井」へ移し、豊受大御神が天照大御神に招かれて、丹後から現在の「山田の里」つまり、外宮へ移ってきたとき、外宮背後の高倉山に真名井の水も一緒に移したとも云われます。
すなわち、高倉山ふもとに位置するこの上御井神社の水は「天忍穂井(あめのおしほい)の長井の水」だということになります。
ただし、実はこの話については諸説あり、以下のような説も述べられています。
瓊瓊杵尊が上御井神社の井戸を作った説
天照大御神の孫の「瓊瓊杵命(ににぎのみこと)」が天界の神々を率いた「天孫降臨」の際、神々の中に「天牟羅雲命(あめのむらくものみこと)」という神が存在しました。
瓊瓊杵尊は、天牟羅雲命に命じて天界に御座す「天御中主神(あめのみなかぬし)」という神のもとへ行かせて次のような報告をさせました。
「地上の水は汚れきっています。このままでは地上に御霊を御座させる天照大御神に供進(そなえる)できません。」
すると、それを聞いた天御中主神は、「それなら天の忍石(おしわ)の長井の水を八杯の玉椀(たまのまり=宝石のお椀)で汲み取り、まず天照神へ供えよ。残りは瓊瓊杵と地上の水とせよ。」と告げます。
このお告げを聞いた瓊瓊杵命は早速、現在の内宮の西南の地に井戸を掘り、天忍石の長井の水を注ぎます。すなわちこの井戸こそが現今の上御井神社の井戸になります。
この他、上述、丹波の御井にも水が注がれましたが、一説では九州・日向に位置する高千穂の井戸にも同様の水が注がれたとされ、いずれの井戸も高天原へつながっていると云われています。
上御井神社の井戸で水を汲み上げる際の重いシキタリ
これは他の神社でもそうですが、神道全般において、井戸の御水に自らの顔を映すのは穢れを呼び込むとされ、縁起が良くないされていることから、神宮の神職の方も、長い柄杓を井戸の底へ下ろして御水を汲みあげているようです。
上御井神社の水源
伊勢神宮の外宮の真後ろには、標高120mほどの小高い「高倉山(たかくらやま)」という山があります。
上御井神社の井戸の水源は、この「高倉山」の頂の近辺であるとされています。
他にも、宮川の地下を流れる地下脈水が、この井戸の底から湧き出ているとも云われております。
実は、過去に一度、上御井神社の井戸の御水が枯渇したことがあると、古文書に記載がされているようですが、これは定かではありません。
伊勢市は古来、水が豊富な地域であり、水の氾濫が起こるほど水に恵まれた地域でした。
ただ、万が一、上御井神社の御水が枯渇するようなことがあれば、これは日本の国全体に悪いことが起こる凶兆の兆しとされているようです。
昔は、万が一、上御井神社の御水が枯れた場合、昼夜関係なく、真っ先に朝廷へ使者を送ることが義務付けられていたようです。
上御井神社の場所(地図)
上御井神社は、高倉山を構成する1つである「藤岡山」の麓に位置します。大津神社の先にあります。
一般参拝は不可で、一般禁足地域にあります。
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