神宮文庫「黒門(御師邸門)」【伊勢市登録有形文化財】

スポンサードリンク

神宮文庫「黒門(御師邸門)」【伊勢市登録有形文化財】

創建年

  • 1780年(安永九年)
大きさ

  • 横幅約4m(一間)
建築様式(造り)

  • 薬医門
屋根の造り

  • 切妻造
  • 本瓦葺き
素材

  • ケヤキ
別名

  • 御師邸門(おんしていもん)

黒門の名前の由来

この門は知る人ぞ知る伊勢の隠れた名所の一つであり、名前が示すとおり、黒みがかった姿態をしていることが理由なの‥‥かはさておき、古来、「黒門」と呼ばれる。
(皇学館大学が建てられる以前、当地には黒みがかった建物が並んでいたらしい)




神宮文庫「黒門(御師邸門)」の歴史

この門は今より遡ること約350年前、山田の有力御師でもあった「福島 御塩焼大夫(ふくしま みさき たゆう)」宅の表門として建造された。

現存する御師邸の門としては最古のものらしい。

福島家は、外宮土宮(つちのみや)の御塩焼 物忌職(みさき ものいみ)を世襲した家柄であり、代々、「福島 御塩焼大夫」を名乗る。

その福島御塩焼大夫の邸宅は「八日市場(伊勢市)」と称する場所にあったらしいが、永く保存することを目的として1935年(昭和十年)に現在地へ移築され、1958年(昭和三十三年)12月22日に伊勢市有形文化財の指定を受け、今日に到る。(邸跡には現在石標が素敵に建つ)

【ピヨ🐣01】「御塩焼」とは?

「御塩焼」とは、荒塩(あらしお)を焼くことを意味する。

伊勢の神宮では、お祓いに用いる御塩(しお)は、塩田より採塩したものを素敵に焼き上げ、三角錐形の土器に詰め込み、古くから踏襲される「御塩焼固(みしおやきがため)」と称する調製法によって生成する。

【ピヨ🐣02】「物忌」とは?

「物忌(ものいみ)」とは、神事前などに日常生活を営む上で欠かせない飲食や言動を慎み、沐浴潔斎して心身の穢れ(けがれ)を除去することを云う。

以上をまとめると、福島家とは外宮土宮の祭儀に関わる神職でもありつつも、御師をも生業としていた実態が想像につく。

どうやら福島家は伊勢山田では名前の知られた豪家だったらしく、この門の姿態からもイメージできるように際立って広い土地を有したらしい。

【ピヨ🐣03】「大夫」とは?

官位制度における五位以上の男性官吏の称号の一つ。五位の官位は貴族社会では最下の位とされたが、地方では最上とも呼べる位だった。

🐣「大夫」の意味

官職の場合は「大夫」と書いて「だいぶ」と読む。

伊勢神宮の権禰宜(ごんねぎ/神職)は五位に叙されていたが、時代が下ると、それより下位神職の御師たちは「太夫」と呼ばれはじめた。

やがて「大夫」は単に五位を指す通称となり、「たいふ」と読んだらしい。

さらに時代が下ると功績を残した者や長者になった者を揶揄、或いは尊称として「大夫」や「太夫」と呼びはじめ、これが一般化した。

🐣「太夫」の意味

太夫は「たゆう」と読む。

時代が下ると神職が「大夫」と呼ばれたことに対し、神事芸能を奉奏する者、御神楽(里神楽or太神楽)の長などは「太夫」と呼ばれたらしい。

もっぱら遊郭における太夫とは遊女の最上位を指し、才色兼備、文学・芸事・茶道などにおいて秀出した者を意味する。

門のディティール

⬆️門正面。桁行のある冠木と、礎石上に沓巻を素敵にはめ込んだ幅のある本柱を乗せ、豪壮感を漂わせる。

⬆️門扉支える肘坪(ひじつぼ)と 飾り鋲の錆具合が歴史を素敵に感じさせ〜る。




⬆️男梁には束を立てず、中程”上部”に板蟇股状の”丈夫”な笈形(おいがた)を据えた簡素な門という印象を受ける。
笈形の下がり藤の紋は福島家のものなのか?….はてさて。

⬆️脇戸(くぐり戸)にも飾り鋲が素敵にハメ込まれる。通例では一ヶ所の設置が多い脇戸だが、左右に2ヶ所設置されている点にも注目👀

とりわけこの門は、薬医門にしては基本的な造りは簡素ながらも、細部にまで錺金具を素敵に嵌め込み、袖塀にも本瓦葺き、大棟両脇にシャチホコを据えるなど所有者の豪奢ぶりが、うかがえる素敵な佇まいの門といえ〜る。….アカン、”素敵”ホンマにやめれん

⬆️屋根上の鯱鉾や隅棟に見える飾り(置物)にも注目👀

⬆️門をくぐり抜けた後は神宮文庫へと続く緩やかな坂道が素敵に待ち構え〜る。…もぅ、アタイをアンタ(=素敵)で染・め・て♡

神宮文庫・黒門の場所(地図)

所在地:伊勢市楠部町19-12

【ピヨ🐣アクセス方法】

市内各所から「三交バス51系統or60系統」に乗車、「神宮徴古館前(倭姫宮前)バス停」で下車して徒歩約01分💋

  • 内宮から約10分
  • 外宮から約07分

時刻表

【ちょっと寄り道🐣ピヨ】近くに「葉山太夫邸の門」もある

他にも、かつての御師・「葉山太夫邸の門」が徴古館の裏側、御幸道路沿道に素敵に佇む。

関連記事一覧

スポンサードリンク -Sponsored Link-


当サイトの内容には一部、専門性のある掲載がありますが、これらは信頼できる情報源を複数参照して掲載しているつもりです。 また、閲覧者様に予告なく内容を変更することがありますのでご了承下さい。