伊勢神宮(-JINGU-)◆ せんぐう館(SENGUKAN)
竣工日(創建年)
- 2011年(平成24年)12月20日(開館は2012年4月)
設計者
- 株式会社 栗生総合計画事務所(栗生明氏)
施工者
- 大成建設
大きさ
- 横幅:約30m
- 奥行き:約50m
- 敷地面積:約1650平方メートル
仕様・用途
- 博物館
建築様式(造り)
- 切妻造り
- 妻入り
- 地上1階・地下1階建て
- 1階部:鉄骨造
- 地下部:鉄筋コンクリート造り
屋根の造り
- 鋳鉄(ちゅうてつ)葺き
発願者
- 神宮式年造営庁
項・一覧
伊勢神宮・せんぐう館の歴史
「せんぐう館」は、第62回 式年遷宮を記念して外宮の勾玉池池畔に2012年(平成二十四年)に開館した。
式年遷宮の影響もあってか、覚えめでたく開館からわずか半年で16万人もの参拝客が来館するに到ったが、博物館の規模としては大型ではなく、中型に位置付けられるとのこと。
規模をあえて大きくしない理由とは、なんでも伊勢神宮の宮域が伊勢志摩国立公園内にあることから、景観を損なわないような配慮が成されて現在の規模に収めたとのこと。
伊勢神宮・せんぐう館の役割や造られた目的
- 式年遷宮とはどういうものなのか?を後世に永続的に伝えるため
- 式年遷宮に奉納される神宝・御装束類制作技術(職人技)を展観し、永久に継承するため
- 神宝・御装束類制作技術を我が国の文化と捉え、広く世に伝える
せんぐう館が建てられた大きな目的は、社殿の造営技術や遷宮のたびに新調される「御装束神宝(ごしょうぞくしんぽう)」の技術を展示する「博物館(資料館)」として造られました。
伊勢神宮の遷宮で奉納される神宝は、1000年以上前に生み出された古式の技術を踏襲する形式で、代々技術の伝承を受けてきた職人たちの手により奉製されています。
職人の中には人間国宝に指定されている職人も在籍し、これらの技術は古式であるからこそ価値があるものであり、文化財保護という観点からしても永続的に伝承していく必要があります。
せんぐう館では、こうした職人たちが実際に作っている様子を工程に細かく分けてパネルや展示品などを通して詳しく説明しています。
また、せんぐう館に展示されている神宝などは、実際に神宝を奉製している職人たちが、せんぐう館へ出陳(展示)するために奉製した本物の神宝になりますので、製作工程を見て完成までの一連の流れを見て学習することができます。
せんぐう館の内部案内図
画像引用先:せんぐう館
せんぐう館の内部には、博物館と長椅子が沢山並べられた無料の休憩所があります。
博物館では、パネルや模型を使っての説明や、講座や体験学習などがあって、神宮の式年遷宮全般について理解しやすくしています。
内部には1階と地階が存在し、展示室が8つあります。
それぞれの展示室には、神職さんの使用する道具や、お祭りの様子を表現したジオラマが展示されており、テーマごとに分けて部屋分けがされています。
せんぐう館の入場料金(入館料)
ボンビーな方には少々手痛い話ですが、せんぐう館は残念ながら入場料金が必要です。
- 大人1名:300円
- 小・中学生1名:100円
- 未就学児無料
せんぐう館の割引について
せんぐう館は基本的に一般の割引きはありませんが、以下のような割引きがあります。
小学生未満の子供は入場料金無料!
ただし、条件として保護者の同伴が必要。
団体割引(20名以上)
1名につき100円割引きになります。
障害者割引はなし!
障害者の方の割引適用はありません。
せんぐう館の営業時間・定休日
- 開館時間:9時から16時30分まで(入館は16時まで)
- 休館日:第4火曜日(祝日の場合はその翌日)
せんぐう館に駐車場はある?
せんぐう館には専用駐車場がありません。公式には外宮の駐車場への駐車が推奨されていますが、他にも以下のようなおすすめ駐車場がありますので、ご参照ください。
せんぐう館のペットの入場について
せんぐう館には基本的にペットの入場はできませんが、介助犬に関しては入場ができます。
ペットに関しての詳細はせんぐう館まで問い合わせてください。
せんぐう館の「見どころ(展示品など)」
休憩所
この無料休憩所は前後の壁面一面にガラスが用いられていますので、前の勾玉池や後方の境内の様子が内側から見渡せます。
前方には勾玉池が広がり、左側を見れば東屋が池のほとりに見え、その前には花菖蒲が見えるハズです。
例年、6月頃に訪れると白色や紫色の花弁を付けた花菖蒲を観賞することができるでしょう。
座席数は30席くらいですが椅子がベンチのように長く、飲料自販機も置かれていますので一息入れるには適した場所です。
せんぐう館での観覧を終えたら一息入れるつもりで、ぜひ立ち寄ってみてください。
せんぐう館・奉納舞台
この舞台は、せんぐう館の大きな見どころの1つです。
勾玉池のほとりに造営された、広島県・宮島の厳島神社の舞台を彷彿とさせる、朱色の美しい舞台です。
世界各国の音楽アーティストを招聘してリサイタルを行ったり、日本の著名なミュージシャンなも、この舞台でコンサートを行っています。
毎年秋には、この舞台で「観月祭」が執り行われます。
入口の正面のエントランス
館内に入るとエントランスが広がり、左脇に受付があります。受付の奥に展示室があるのですが、そのまま奥に行くのではなく、ちょっと入口正面で足を止めてみてください。
エントランスには樹齢400年のヒノキで造られた昭和28年に造られた本物の等寸大の外宮の御正殿の扉が展示されています。
実物を近くで観ることができるため、細かい職人技を自分の目で確認できます。
また受付正面にはタッチパネル式の映像パネルが設置されています。この映像パネルを操作することによって伊勢神宮とはどういうお宮なのか?などの伊勢神宮に関する基礎的な知識を学習することができます。
遷宮シアター
博物館に入るとまず観覧者を待ち構えているのが200インチものハイビジョンの大画面です。
この画面では普段はなかなか見る機会のない、伊勢神宮の1日の様子を通して1年間の様子を見ることができます。
伊勢神宮では、年間約1500回を数える祭典(神事)が執り行われていますので、ほぼ毎日、何かしらの祭典が執り行われていることになります。
その様子を迫力満点の大画面シアターで観ることができます。
このシアターで観ることのできる祭典の中には、一般参拝者が観ることができない祭典も存在しますので、かなり貴重な機会とも捉えることができます。
尚、シアターには定員がありますので、ご注意ください。
ただ、映像が流れる所要時間は約5分程度ですので、万が一、定員でも次の回を待てば良いだけです。
ただし、土日祝日は混雑しますので、次の回に観れない可能性もあります。
シアターの所要時間・定員
所要時間(映像が流れる時間):約5分
定員:約30名
外宮へ参拝された際は是非!シアターへも立ち寄ってみてください。
第1展示室:「瑞穂の国」
画像引用先:せんぐう館
日本は「豊葦原の瑞穂国」とも言われるほど、みずみずしい稲穂が成る国として讃えられてきた歴史があります。
そもそも日本における米の起源は天照大御神が天孫降臨の際、甥の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に天の稲穂を地上で栽培してそれを糧とするように下命されています。
第1展示室では、伊勢神宮と天照大御神の紹介と、さらに伊勢神宮と稲についての関係性や歴史を紹介しています。
現在、伊勢神宮の御祭神に供される神饌(お供え物)はすべて伊勢神宮が所有する田畑などの土地から収穫されたものを古式に則った調理方法にて調製しています。
その中でも神宮神田に特化して抜穂(ぬいぼ)やその抜穂を加工して調理する方法や、調理する際に必要となる火(忌火)を起こす方法も詳しく解説しています。
伊勢神宮では、米を炊いたりするときに必要になる火は「忌火(いみび)」といって原始時代のように「火鑽具(ひきりぐ)」を用いて火を起こしていますので、その方法についても解説があります。
第2展示室:「伊勢の神宮と式年遷宮」
第2展示室では、式年遷宮についての説明があります。倭姫命が伊勢神宮を創建した経緯や創建に至るまでの軌跡をパネル展示で知ることができます。
他にも神宮のことについての根本的な部分の理解を深めることができます。
なお、式年遷宮に関してのコーナーは第2展示室を以って終了です。以降は御装束神宝や社殿の造りなどの解説になりますので、式年遷宮における理解はここまででしっかりと学習しておきましょう。ウフ
第3展示室:「永遠の匠たち」
第3展示室と下記の第4展示室では、「御装束・神宝(おんしょうぞく しんぽう)」が展示されています。せんぐう館の目玉となる見どころの1つです。
伊勢神宮の式年遷宮で奉納される神宝は714種1576点にも及び、その一部が展示されています。
職人たちの作業工程においての完成品を展示し、さらに写真パネルを用いて詳しく解説されています。もちろん完成品も展示されています。
ちなみに「御装束」とは「神様へ奉納する神様が着る洋服」になります。
「神宝」とは、宮殿内に置かれる「糸巻き」などの「紡績具(ぼうせきぐ)」、「武具(太刀)」や「楽器」などの調度品のことです。
これらはすべて北斗神拳伝承者のように1000年以上前から代々受け継がれてきた職人技によって作られたものです。
また、式年遷宮で用いられる大工さんが使用する「木材」や「大工道具」も展示されています。
第4展示室:「永遠の匠たち」
第3展示室に引き続き、第4展示室も御装束神宝が展示されています。せんぐう館の目玉となる見どころの1つです。
伊勢神宮の遷宮の際に奉納される御装束・神宝が間近で観ることができます。
御装束・神宝とは、神様の衣服や刀剣などのことです。
神様が着用するものですので、古の技法で1から丁寧に制作されます。
究極とも言えるほど細かい作業の職人技を要し、それに伴い、制作期間も必要になります。
御装束や神宝の制作期間は数年を要し、その制作過程をぬぅあんとぉぅ!この第4展示室で観ることができるのです。
しかし現在では、古来よりの伝統の職人技を受け継ぐ者が少なくなってきているのが問題視されています。
式年遷宮でもっとも重要な儀式「遷御の儀」が間近で観れる!
「式年遷宮」とは、「しきねんせんぐう」と読み、20年に1度、社殿を新造(新しく造り替える)する伊勢神宮ならではの重要な行事です。
この式年遷宮におけるもっとも重要な儀式となるのが、神様の御神体を古い社殿から新しい社殿に遷す(うつす)儀式である「遷御の儀(せんぎょのぎ)」です。
その遷御の儀の一般参拝者が観れない、現在の御正殿から新造された御正殿へ向かう様子を観ることができます。
御正殿から新造された御正殿へは、神職100数名が行列を成し、その様子がなんと!ジオラマでリアルに再現されています。
第5展示室:「神明造」と「せんぐう館の職員の方によるガイド」
外宮の御正宮・御正殿の原寸大の模型
この第5展示室こそが、せんぐう館の最大の見どころでもあります。
せんぐう館の第5展示室には、通常では”間近”で見ることすら叶わない、外宮の御正宮・御正殿の原寸大の模型が展示されています。”マジか”?
といってもまさか等寸大の御正殿をそのまま館内に入れることはできませんので、4つに分けて1部分を展示しています。
この模型は、現役の宮大工が外宮のご正殿の東側部を、実物と同じ大きさで作った模型となります。
すでに、ご存知の方も多いと思われますが、伊勢神宮の御正殿は「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」という建築様式で造られています。
このような歴史的価値の高い建築様式を目の前で観ることができるのも、この「せんぐう館」の魅力の1つです
外宮御正宮内の殿舎配置図
豊受大神宮(外宮)の御正宮の御垣内の殿舎は、伊勢神宮の神職さんでさえ、なかなか間近で見ることすらできません。
一般参拝者は外玉垣の外、つまり御垣内の外側で参拝するのがせいぜいなので、御垣内の殿舎の配置などは知りようがありません。
そこで御垣内がどうなっているのか?を解説するために20分の1の外宮御正宮の模型を展示しています。
これを見れば一般参拝者がどこで参拝して、どこに本殿(御正殿)があるのかも理解できます。
さらに模型の背後には、外宮正殿の原寸大模型があります。
せんぐう館の職員の方による解説
さらに驚くことに、なんと!この外宮の御正殿の前で「せんぐう館の職員さん」が伊勢神宮にまつわる様々なウンチク話を聞かせてくれるのです。
ただし、いつでもというワケではなく、時間が決められていますので、お話を聞きたい方は時間を狙って訪れる必要があります。
注意点
- 毎回必ず開催されるというわけではないようです。
- 混雑状況などにより開催を見送ったり、時間帯の変更があります。
- ガイドの予約は行っていないので注意が必要です。
- 毎週土日に行われるガイドツアーとは別ですが、ガイドツアー中にこの解説を一緒に受けることができます。
ガイド時間
- 第1回目:10時から開催
- 第2回目:11時から開催
- 第3回目:12時から開催
- 第4回目:13時から開催
- 第5回目:14時から開催
- 第6回目:15時から開催
※ガイドの所要時間:約10分。
わずか数百円の入場料金を支払うだけで、このような歴史的価値のあるお話を聞かせていただけます。
せんぐう館に訪れる際は、ぜひ、上記の時間帯を狙ってみてください。
※お昼どきは比較的、混雑層が薄いようです。
第6展示室:「永遠の匠たち」その2
式年遷宮では上述、神宝以外にも大事な技術の継承が代々、行われています。
その技術の継承こそが「社殿の造営方法」、すなわち建築方法です。
昨今、既知の方も多いと思われますが、伊勢神宮の社殿の造りは神明造りという造りで建てられています。ただし、両宮の御正殿は他の社殿と一線を画すために同じ神明造りでも「唯一神明造」と呼ばれる造りで造営されています。
第6展示室では、この神明造りの社殿の造り方に関する技術の紹介と、作る際に必要になるカンナや金槌などの大工道具の紹介もしています。
第7展示室:「休憩室&自由学習スペース」
第7展示室は学校のライブラリースペースのように自由学習ができるスペースになります。伊勢神宮および式年遷宮に関しての書籍がズラッと並べられた本棚が置かれ、その前には机椅子がいくつか並べられています。
机上にはタッチパネル式の端末機も設置されていますので、この端末機を駆使して様々な情報を検索することができます。
また、机椅子が置かれていることから一息入れて休憩することもできます。
第8展示室:「イベント企画の展示コーナー」
第8展示室では、期間限定のイベントなどの催し物展示が行われるスペースです。季節に応じたイベントが開催されますのでお見逃しなく!
廊下部分
展示室の端にはエントランスから最奥の第5展示室までを往来できる長い廊下が1本通っていますが、この廊下にもちょっとした展示物があります。
その展示物というのが日本絵画です。この廊下の壁面には式年遷宮を題材にした日本画の巨匠「鳥居禮(とりい れい)」の作品が飾られています。作品を通して式年遷宮内の様々な祭礼の様子が描かれています。
一息入れるつもりでこの廊下を歩くのも良いと思います。
毎週土日のせんぐう館無料ガイドツアーも見逃せない!
せんぐう館では、日本語ガイドツアーを毎週土曜、日曜、祝日に開催しています。
参加料は無料ですが、時間にして30~40分という内容たっぷりのガイドツアーとなります。
旅行ツアーの方は参加することができず、参加対象は個人のみとなっていますので、ご注意ください。
- 開催日……毎週土曜、日曜、祝日
- 開催時間……10:20/14:20の2回
- 実施時間……30~40分程度
- 定員……20名程度
- 受付……ガイドツアー開始時刻までにせんぐう館受付にて申し込みが必要
- その他……外宮正殿原寸大模型の前で行われる展示ガイドには、当該ガイドツアーと合わせて参加することができますが、所要時間が60分程度となります
せんぐう館の見学所要時間(滞在時間)について
せんぐう館の館内はそれほど広くはないのでサラッと見るだけであれば30分くらいで一通り、見学を終えることができます。
ただし、シアター(動画)など見たりガイドを聞いたりするなど、じっくりと見学した場合は、40分〜1時間ほどの見学時間を要します。
この他、定期的に開催される「講座(講義)」などを受講する場合は30分ほど余分に時間がかかります。
せんぐう館の設備など
- 館内コインロッカーあり
- 1階休憩室に自販機あり
- トイレ男女あり
- エレベーター設置あり
せんぐう館のINFO
住所:伊勢市豊川町前野126-1
URL: http://www.sengukan.jp/
伊勢神宮(外宮)せんぐう館の場所
「外宮の表参道」から「火除橋(ひよけばし)」を渡って、左側の「勾玉池(まがたまいけ)」に面した場所位置す〜る。
せんぐう館への行き方
徒歩
伊勢市駅(JR・近鉄)からせんぐう館への行き方
伊勢市駅の改札を出てバスターミナルを北方向へ(外宮の方向へ)、外宮参道を徒歩で直進、約8分
- 距離:650m
近鉄・宇治山田駅からせんぐう館への行き方
近鉄・宇治山田駅の改札を出てバスターミナルを北方向へ(外宮の方向へ)徒歩で直進、約12分
- 距離:1km
バス(三重交通)
伊勢市駅、および宇治山田駅から三重交通バスへ乗車し、「外宮前バス停」で下車、徒歩約2分
- バス運賃:大人:180円、小児:90円
- バス所要時間:伊勢市駅から約5分、宇治山田駅から約7分
外宮のオススメ参拝ルート
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