伊勢神宮(-JINGU-)◆神宮茶室(JINGU-CHASITSU)
創建年(竣工)
- 1985年(昭和60年)4月11日
起工式
- 1983年(昭和58年)3月
建築様式(造り)
- 入母屋造り
- 木造平家建
屋根造り
- 桧皮葺(ひわだぶき)
寄進者
- 松下幸之助
施工者
- 中村外二工務店(大工)
- 鴻池組(土木関連)
- 株式会社 岩城(築庭)
総工費
- 約10億円
神宮茶室の歴史・由来
「神宮茶室(じんぐうちゃしつ)」は、宇治橋を渡った左側にある神宮司庁と五十鈴川に囲まれた「紅葉苑」にあります。
敷地内は赤松を諸所に配植した美しい佇まいの茶室である。
神宮茶室が作られた理由(経緯)
松下幸之助が伊勢神宮崇敬会の会長を務めていた頃、茶室の寄付を思い立ち、松下電器産業グループの創業65周年と松下幸之助の88歳の「米寿(べいじゅ)」を記念して、1985年4月に完成したもの。
工期と工費
建設に際しては、「300年保って歴史的遺産になるもの」という目標のもと、約2年間の工期と総工費10億円でつくられました。
現地で原寸大の模型を造り、軒の高さ、周囲の景観などを確認した上で、工事に着手したそうです。
建造物は、1853.83㎡の敷地に、木造平屋建の茶室(354.3㎡)と、大腰掛待合(こしかけまちあい)、ポンプ小屋、外トイレが造られました。
腰掛待合とは?
「腰掛待合」とは、庭先に設けた屋根付きのベンチのような腰を降ろして休憩できる場所のことです。
平入りで正面が吹き放ちになっており、ここから見る庭の景色は思わずキスしてしまうような君の純白の頬のような美しさみせてくれます。
松下幸之助が伊勢神宮に茶室を作ろうとした理由(寄付した理由)
松下幸之助といえば、「昭和最後の大茶人」と言われたほどの人物であり、この神宮茶室以外にも10を超えるほど茶室を所有していたらしい。
ある時、茶人として名を馳せていた松下幸之助に、当時、伊勢神宮の大宮司であった「二条 弼基(にじょう たねもと)」が「茶室を伊勢神宮に寄付していただけませんか?」という依頼を打診します。
戸惑った松下幸之助は、「もし仮に寄付するとすれば、境内に建てる場所があるのかを見てから検討したい」と告げ、実際に神宮の境内を検分します。
検分後、氏はこのように申された。
『宇治橋を越えてすぐの左側にちょうど土地が空いているが、ここは澄み切って景観も美しく、ここに茶室を建てれば伊勢神宮の茶室として相応しい茶室が出来るだろう』
以上のような経緯があって上述したように原寸大の模型が現地で実際に造られて着工する運びとなり、現在に至るわけです。ウフウフ(ウフ2連発)..1発はオマケよ♥
神宮茶室の3つの部屋について
建物は、「真」・「行」・「草」の3棟で構成されています。
「真」
「真」は本格的な和風住宅で、建物の周りには広縁があります。屋根はひのきの樹皮を使った桧皮葺(ひわだぶき)の入母屋造りです。
上段の間は、書院造り風の造りになっています。
「行」
「行」の棟には、二つの広間をつなぐ天井付近の欄間(らんま)に、芽生えた松の模様が施されています。
「草」
「草」は、「鷹司和子(たかつかさかずこ)神宮祭主」が「霽月(せいげつ)」と名付けた四畳半席があります。
茶室の軒下正面に「霽月」と書かれた扁額(へんがく)が飾られています。
なお、この扁額の文字は昭和天皇の侍従長であった「入江相政(いりえすけまさ)」氏の揮毫によるものです。
神宮茶室の役割(使用用途)
神宮を訪れる大切な客人の接待や、崇敬の気持ちで神様にお茶をお供えする儀式(献茶式)などで利用されます。
主に、伊勢神宮崇敬会の行事に利用されることが多いです。(客人にお茶のおもてなしがされます)
また、春・秋の神楽祭期間中に茶庭からの外観と大腰掛待合の一般無料公開が行われます。
伊勢神宮・内宮(皇大神宮)「神宮茶室の公開」
神宮茶室は、一般の参拝客が訪れることは難しいのですが、伊勢神宮では、一般に方にも茶室を公開しています。
茶室の公開は春と秋の年に2回の限られた日程のみに限定されます。
春の神宮茶室の公開
春の神宮茶室の公開は毎年、4月下旬頃となります。
- 日程:4月28日、29日、30日
秋の神宮茶室の公開
秋の神宮茶室の公開も毎年9月下旬頃となります。
- 日程: 9月22、23、24日
これら春の秋には、伊勢神宮では「春の神楽祭」「秋の神楽祭」が執り行われており、上記の日程は「神楽祭」に合わせた日程となっております。
ただし、雨天の時は公開中止となりますので注意が必要です。
大工・中村外二工務店について
神宮茶室の核となる茶室の施工には、数寄屋大工として中村外二工務店が担当しています。
中村外二工務店は、その名前のとおり、かつて数寄屋大工の棟梁として名を馳せた「中村外二」が率いた工務店になります。
中村外二氏はすでに他界されてこの世にはいませんが、おそらく氏の最後の傑作といえるのがこの神宮茶室ではないでしょうか。
中村外二氏が手がけた茶室一覧
- 大阪万博日本庭園内茶室
- 瑠璃光院(旧・喜鶴亭。京都市左京区)
- 神宮茶室
数寄屋造りにおいて大事なこと
数寄屋造りは角材よりも丸太を多く使用し、丸太で数寄を演出しなければなりません。そこで1本1本形状や寸法の異なる丸太を多用して造っていくわけですが、ちょっとよく考えてみてください。
寸法が異なる丸太を用いて建てるわけですから、当然、歪みができてくるということです。
そこで丸太を適材適所に用いて均等がとれるようにして組み上げていくのが、数寄屋大工の腕の見せどころとなってくるわけです。
そういった意味合いでは、この神宮茶室は見事な仕事だと言わざるを得ません。
神宮茶室の公開時間など
- 開催時間:11時45分から15時まで
神宮茶室の場所(地図)
内宮のオススメ参拝ルート
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