通常、神社へ参拝された際に、誰もが思い浮かべる参拝方法は、ご本殿の前でお賽銭を入れて手を合わせる方法だと思います。
しかし、伊勢神宮には他にも、特別な参拝方法がありますので、以下でご紹介します。
項・一覧
伊勢神宮の特別参拝(御垣内参拝)とは?
御垣内参拝は「みかきうちさんぱい」と読み、これは内宮・外宮の両宮の御正宮の垣根(かきね/壁)の奥に入って参拝することです。
通称「特別参拝」の名前で知られています。
通常の参拝であれば、「御幌(みとばり)」と呼ばれる白い布の前までしか行けません。
しかし、”ある事”をすると、「御垣内(みかきうち)」と呼ばれる「白い布の奥」へ入って参拝することができます。
その”ある事”というのが、定められた金額の初穂料を納めることです。
特別参拝(御垣内参拝)の料金(初穂料)は2,000円から!会員制度も!
御垣内へ入るためには、大金を奉納しないと入場できないようなイメージがあります。
しかし、驚くことになんと!!1000円→2000円を初穂料として納めるだけで、御垣内へ入って参拝することができます。
ただし、奉納金の額に応じて御垣内参拝できる「位置」が変わってきますので、以下をご参照ください。
1000円→2000円~:外玉垣南御門の内側まで- 10万円~:中重御鳥居まで
- 100万円以上:内玉垣南御門外まで
ちなみに、これらの奉納金の金額ですが、上限はなく、多い分には、いくらでも奉納できます。
内宮・外宮どちらかの神楽殿で初穂料を納めて申し込むと、特別参宮章をいただけます。
特別参宮章とは?
定められた初穂料(料金)を内宮または外宮境内の「神楽殿」で奉納します。
これが特別参拝の申し込みになります。
その後、「特別参宮章(とくべつさんぐうしょう)」というカードを授与していただけます。
この特別参宮章には、内宮と外宮でそれぞれ特別参拝すると、ハンコが押されます。
例えば内宮で御垣内参拝をしたのであれば「内宮」と彫られた丸い形のハンコが押されます。外宮も同様です。
有効期限に関しては、「平成○○年まで有効」と記載されていますので、例えば、1日目は外宮、2日目に内宮といった具合に自分の予定に合わせた使用ができます。
ちなみに、特別参拝で納めた初穂料は、次回の「式年遷宮」の資金にあてられます。
式年遷宮の費用を寄付した「協賛員」として、返礼品代わりに特別参宮章がいただけるという形になっているのです。
1000円→2000円の奉納で特別参拝できる回数は、内宮・外宮それぞれ1回限りです。
特別参拝(御垣内参拝)ではここまで入れる!最高ランク「内玉垣南御門外」とは!?
ここで「御垣内参拝のメリット」などと軽々しく口にするのも畏れ多いことなのですが、
・・御垣内参拝のメリットとは、やはり大御神の御座す(おわす)御正殿(ごしょうでん)から至近距離での参拝ができることです。
「御正殿」とは、御正宮の内部のほぼ中心に位置する、神宮の中でもっとも尊い殿舎(社)になります。
以下に両宮の御正宮の内部(御垣内)の地図を掲載しておきます。
上図を見れば、「外玉垣南御門→中重御鳥居→内玉垣南御門外」の順番で御正殿に近づいているのが分かります。
内玉垣南御門の内側にはもう1つ御垣(瑞垣/みずがき)がありますが、ここへは特別参拝でも行くことが不可です。この御垣は正宮における最後の御垣であり、この御垣の向こう側に本殿に相当する御正殿があります。
ちなみに神宮では瑞垣の内側ことを敬う意味合いを込めて特別に「内院(ないいん)」とも呼んでいます。
内宮・外宮の御正宮の御祭神や建築様式などに関して詳しくは、当サイトの以下のページでご紹介しています。
伊勢神宮崇敬会になって特別参拝(御垣内参拝)をする方法
伊勢神宮(内宮・外宮)の神楽殿にて特別参拝を申し込む方法をご紹介しましたが、もう1つ、御垣内参拝をする方法があります。
それは、伊勢神宮崇敬会の会員になり、会員証を提示して参拝する方法です。
会員証を提示すると、上掲の案内図中の外玉垣南御門の内側まで進んで参拝できます。
会員になると、特別参拝ができる他、会員ランクに応じて神宮徴古館農業館や神宮美術館の入館料、神宮会館宿泊料の割引が受けられたり、贈呈品をいただけたりします。
会員の特典・待遇の詳細、資料請求、申込みは、伊勢神宮崇敬会ホームページをご覧ください。
伊勢神宮崇敬会会員の種類と会費、特典・待遇
区分 | 個人のみ | 法人・団体・会社・個人 | ||
---|---|---|---|---|
種別・年会費 | 正会員・1万円 | 会員・5千円 | 準会員・3千円 | 維持会員・10万円(1口) |
登録名 | 本人名のみ(団体・社名は不可) | 団体名・社名または代表者名、個人名で登録可能 |
伊勢神宮崇敬会会員の特典・待遇
- 会員章の発行
- 神宮特別参拝(御垣内参拝)
※準会員は有効期限までの間に1回のみ、他会員は1年間何度でも可能 - 神宮徴古館農業館観覧料割引
- 神宮美術館観覧料割引
- 神宮会館宿泊料割引
※会員:本人のみ5%引き、正会員:本人のみ10%引き、維持会員:10%引き
※インターネット予約は適用外
※維持会員は別途優待券(個人用)が進呈されます。 - 神宮会館会場使用料割引
※会員:20%引き、正会員:20%引き、維持会員:50%引き - 崇敬会取扱品購入割引
※全会員10%引き。除外品あり。 - 奉納大相撲観覧料1,000円割引
- 崇敬会行事の案内、会報 『みもすそ』 贈呈
- 会員奉賽神楽撤下神饌贈呈
※年末に御神楽を奉納 - ガイドブック『お伊勢まいり』贈呈
※正会員と維持会員、入会時のみ - 崇敬会叢書贈呈
※正会員と維持会員が対象 - 『崇敬会日記帳』贈呈
※会員、正会員、維持会員が対象 - 情報誌『皇室』贈呈
※維持会員が対象
※以上の内容は、2014年(平成26年)改定・施行分です。将来的には変更がある可能性もあります。
伊勢神宮崇敬会への入会方法(入会の流れ)
伊勢神宮崇敬会ホームページの入会フォームから入会の手続きができます。
1.伊勢神宮崇敬会ホームページの入会フォームに必要事項を入力、送信する
2.年会費を「郵便振込み・銀行口座振込み・現金書留」のいずれかの方法で入金する
3.入金確認後、約2週間で会員証が送付される
なお、御垣内参拝の希望日まで間がない場合は、神宮会館で直接申し込むこともできます。
神宮会館で直接申し込んだ場合は、その場で仮の会員証が発行されます。
年会費は現金で直接納めます。
特別参拝には会員の家族も参加できる?
会員証を使って特別参拝ができるのは、会員本人のみとなっています。
特別参拝(御垣内参拝)は予約できる?
伊勢神宮の特別参拝(御垣内参拝)は事前に予約をすることはできません。
現地で直接お申込みください。
特別参拝(御垣内参拝)の服装の注意点
神社に参拝する際は、あまり華美でない、露出の多くない服装がおすすめですが、御祭神により近い位置まで行ける特別参拝ともなると、よりしっかりとした服装が求められます。
特別参拝要項によりますと、特別参拝の時の服装は、礼服またはスーツが基本です。
基本の服装
- 男性:スーツ(背広・ネクタイ着用)・礼服、革靴
- 女性:スーツもしくはスーツに準じた服装・ブラックフォーマル(礼服)、革靴
- 子供:学校の制服
スーツの色は黒、またはダークグレーや紺の、派手でないものを選んでください。
シャツは白で、ネクタイの色は、黒や白にこだわる必要はありませんが、派手すぎないものが良いでしょう。
なお、参拝前に上記のような服装になっていれば良いので、夏の暑い時期はジャケットを持参して参拝前に羽織れば良いですし、真冬に着用している分厚いコートやストールも、参拝前に脱げば問題ありません。
革靴が不慣れで靴擦れなどが心配という方は、荷物にはなりますが、現地で履き替えても良いでしょう。
黒のきれいなスニーカーで参拝できたという声もありますので、履き慣れた靴で行って、「だめだったら履き替えるための革靴」を持参するのもおすすめです。
なお、御垣内の地面は大きめの石が敷き詰めてあります。
歩きづらく、危ないので、ハイヒールはおすすめしません。
避けるべき服装
- ジーンズ、チノパン
- ショートパンツ、ハーフパンツ
- ミニスカート、タイトスカート、フレアスカート
- Tシャツ、ポロシャツ
- 半袖シャツ、タンクトップなど肩が出るトップス
- オフショルダーなど露出の大きい服
- 柄が入った服、色が派手な服、極端に光沢がある服
- スニーカー、サンダル、ブーツ
- 派手な色柄のネクタイ、ループタイ
- 派手な色柄の靴下・カラータイツ
カジュアルな服装、柄物や、色が派手な服装、露出の多い服装は断られることが多いので、避けるのが無難です。
また、場合によっては、以下のような服装も、断られる可能性があります。
断られる可能性がある服装
- 長袖のシャツやワンピースだが、ジャケットを着用していない
- ジャケットを着用しているが、スカート・パンツとセットアップではない(上下で素材や色が違う)
- 礼服以外のワンピース
- 明るい色(ライトブラウンなど)のスーツ
- バックストラップ、オープントゥの靴
- エナメル素材のパンプス
- 黒以外の色の革靴
当日、服装を確認する方によって判断基準が若干異なるため、同じ人が同じ格好で参拝しても、毎回許可されるとは限らないようです。
特にスーツや礼服以外の余所行きの服は、判断が分かれるところです。
女性の場合は、オフィスカジュアルと呼ばれる服装でも断られる可能性があるので、ご注意ください。
とにかく黒のスーツまたは礼服が無難ですが、心配な場合は、事前に電話で問い合わせてみてください。
持ち物・アクセサリー類について
バッグについては、参拝前に預けられるため、ほぼ、何でも良いことになっています。
アクセサリーは、必要最低限に留めておくのが良いでしょう。
雨の場合、傘をさしてもかまいませんが、やはりあまり派手なものは避けてください。
着替えの場所はある?
伊勢神宮内に着替えられる場所はありません。
靴を履き替えるくらいなら手持ちで行けば良いのですが、全身着替えるのであれば、前夜利用したホテルや、駅などの公衆トイレを利用する他ありません。
特別参拝の着物の選び方
特に女性の中には、着物を着て特別参拝に行きたいという方も多いようです。
着物の場合、大切なのは、色よりも「格」です。
着物には、普段着から礼装まで、シーンに合わせて異なるタイプ・素材・柄のものがあり、TPOに応じてふさわしい種類(格)の着物が異なります。
伊勢神宮の特別参拝の服装については、「結婚式に出席するような」と説明されることがありますが、これは洋服の場合よりも和服の場合にぴったりなようです。
お手持ちの、あるいは選ぼうとしている着物が特別参拝にふさわしいかどうか判断するには、「結婚式に着て行けるか」を基準にするとよいでしょう。
季節(暦)による適・不適、柄による格の違いもありますので、着物初心者の方は、呉服屋さんや着付けの先生に聞いたり、伊勢神宮(神宮司庁)に直接電話で問い合わるのがおすすめです。
基本的には、準礼装(略礼装)以上の格の着物が良く、例えば、以下のような着物がおすすめです。
- 一つ紋付色留袖
- 一つ紋付訪問着
- 一つ紋付色無地
- 一つ紋付江戸小紋
※厳密には、帯にも格があり、帯締めや帯揚げにもふさわしい組み合わせが存在します。
小紋で特別参拝に行っても良い?
小紋の着物は、一般的に、礼装・正装としては着用しませんが、鮫小紋など「江戸小紋」で、格式ある紋の、さりげない模様でほとんど無地に見えるようなものであれば、問題ないようです。
具体的な色柄については、ぜひ直接お問い合わせください。
特別参拝(御垣内参拝)の申込場所・時間「早朝参拝もできる?」
特別参拝(御垣内参拝)の申込場所
特別参拝(御垣内参拝)の受付時間
特別参拝要項には「夜明けから日没まで」とありますが、つまり、伊勢神宮(内宮・外宮)の参拝時間内であれば受け付けてもらえます。
ですので、日の出と共に早朝参拝というのも可能です。
ただし、祭祀などの関係で受付けを停止している場合もあります。
特別参拝を希望する日時が明確に決まっている場合は、可能かどうか事前に問い合わせておくと安心です。
伊勢神宮(内宮・外宮)の参拝時間
- 10月・11月・12月:5時~17時
- 1月・2月・3月・4月・9月:5時~18時
- 5月・6月・7月・8月:5時~19時
特別参拝(御垣内参拝)の段取り(流れ)
特別参拝をするのにあたって、何より大切なのは気持ちではありますが、どんなに気持ちを持っていても参拝を断られてしまってはもったいないので、服装の確認も念入りにしてください。
特別参拝自体は、10分もあれば終わります。
まず、当日の服装をチェックする。
神楽殿で特別参拝したい旨を告げて申し込む。(記帳する)
※伊勢神宮崇敬会会員の場合は、会員証を提示する。
特別参宮章が授与される。
特別参宮章を持って御幌の左脇にある「南宿衛屋」へ行って氏名・住所を記入する。
その後、神職の方から”清めの塩”でお祓いを受ける。
あとは、神職の方の先導により御垣内を参拝する。
※複数人で参拝する場合は、代表者が前に出ます。その後、一緒に二礼二拍手一拝の拝礼を行います。
神楽殿に関して詳しくは、当サイトの以下のページでご紹介しています。
伊勢神宮の正しい参拝方法について
伊勢神宮には、外宮→内宮の順番で参拝するという習わしがあり、更に、外宮・内宮境内にある複数のお社を回る順番についても、伝統的な決まりがあります。
伊勢神宮の正しい参拝ルート、所要時間、参拝方法、服装などについては、当サイト伊勢神宮(内宮・外宮・別宮)の正式な正しい参拝の仕方「参拝時間・参拝方法(ルート)・服装」などでご紹介しています。
ぜひ、併せてご確認ください!
特別参拝に関するINFO(神宮司庁)
特別参拝の服装などについては神宮司庁まで。
公式サイト:https://www.isejingu.or.jp/contact/
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