特に大きな神社へ行くと、鶏が放し飼いされている光景をよく見かけます。
古来から鶏は「神鶏」すなわち神の使いとされており、その由来は神話の時代まで遡ります。
伊勢神宮の鶏の由来と伝説
伊勢神宮の鶏の由来とは、こんな伝説です。
天照大御神の弟であるスサノオノミコトの乱暴な振る舞いに、天照大御神は心を痛め、天の岩戸に閉じこもってしまいました。
太陽の神である天照大御神が引きこもってしまった事で、世の中は「真っ暗闇」に包まれてしまったのです。
こらぁ、ラチあきまヘンわ。..と、集まった八百万の神々たちは、一同に会して策を練ります。
まずは天岩戸の前で、朝が来た事を告げる「長鳴鶏(ながなきとり)」を鳴かせ、祝詞を唱え始めたのです。
その長鳴鶏の祝詞に合わせるように、さらに「天宇受賣命(アメノウズメノミコト)」が、天にも舞う勢いで踊りに踊ります。
そんな天宇受賣命(アメノウズメノミコト)の激しく踊る姿や長鳴鶏の祝詞聞き、神々たちは大笑いしだします。
その笑い声は、岩で閉ざされた「天の岩戸」の中にまでも響き渡るほどの笑い声でした。
そして、その笑い声を聞いた天照大御神は驚いてこう言います。
「何事か?!」
さらに天照大御神は、あまりにもの笑い声に我慢できず、ついに天の岩戸を開くことになります。
そうして、天の岩戸が少し開いたスキを見逃さなかった、腕っ節の強い「手力男神(てぢからおのかみ)が、天照大御神の手を引っ張り外へと連れ出すのです。
こうして、世界に再び光が差し込んだのです。
この伝説に出てくる「長鳴鳥」こそが鶏(ニワトリ)であり、暗くなった世界に、再び光を蘇らせる事に貢献した事が「神の鳥」と言われる呼称に起因することとなるのです。
現代では、「長鳴鶏(ながなきとり)」とは、長く鳴くことができるニワトリのことを言う場合に用いたりもします。
伊勢神宮の神鶏(しんけい)の鳴き声・「鶏鳴三声」の由来って??
さらに「長鳴鳥」は、天照大御神を天の岩戸から外へ出す際に、「カケコー、カケコー、カケコー」と三回鳴いたと言われています。
このような由来から、伊勢神宮の式年遷宮で、宮司が儀式の始まりに、鶏の鳴き声の真似を3回行う「鶏鳴三声」の由来も、この伝説から来ているようです。
特に伊勢神宮の内宮は、そんな天照大御神が祀られているのですから、鶏が放し飼いにされているのも当然と言えば当然かもしれません。
伊勢神宮の神鶏たちがいる場所
伊勢神宮の鶏たちが、放し飼いのされている場所は、「伊勢神宮の内宮」です。
内宮の境内の中を自由に放し飼いにされています。
鶏たちが内宮に放し飼いにされている理由は、上記でご紹介した伝説の由来からのものであると言われています。
何といっても世界を救ったヒーローなワケですから。
伊勢神宮の放し飼いの鶏(神鶏=しんけい)たちの種類
伊勢神宮の鶏はそれほど種類は多くないものの以下のような種類の鶏たちがいます。
- 「尾長鶏」
- 「尾鷲鳥」
- 「小国鳥」
などと言った鶏が、境内を自由に歩いています。
ニワトリを敬う一方で、「おはらい町」には「ニワトリの皮」を揚げた人気のお店もある
鶏を敬う一方で、最寄駅の近鉄五十鈴川駅から内宮へと続く「おはらい町」の途中に、なんとそんな鶏の皮を揚げた、「かわあげ君」と言う商品が人気の店もあったりします。
その店の名は「香煙香味 酉一 本店」と言うお店です。
鶏の皮を揚げて、そこに甘辛いタレと胡麻で味付けされた唐揚げで「1つ500円」です。
しかも、一日500食限定です。
「香煙香味 酉一 本店」の「かわあげ君」の美味しい食べ方
ただし、電子レンジで温めたりすると、味が落ちるようです。
おいしいのですが、その一方で「この鶏、神宮の中で歩いていたのを絞めたのか?」
などと、想像してしまいます。しかしご安心を。
伊勢神宮の内宮・外宮にいる神鶏(しんけい)たちは、いずれも観賞用として寄贈されたものであり、神鶏が食べられる事は決してございません。
やはり神の使いまで食べたら、さすがにバチが当たりますものね。
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