伊勢神宮(-JINGU-)◆ 御厩(MIMAYA)
建築様式(造り)
- 切妻造
- 平入
屋根の造り
- 二重板葺
素材
- ヒノキ
御厩の読み方
「御厩」は「みうまや・みまや」と読みます。
御厩は一般的な神社境内にある「神厩舎」に相当
神社によっては「神厩舎(しんきゅうしゃ)」と呼ばれる場合もあります。(日光東照宮(栃木県)は「神厩舎」と呼称されています。)
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伊勢神宮の内宮・外宮の御厩の役割り
「神馬(しんめ」と呼ばれる皇室から奉納された馬を飼育する建物とな〜る。
神宮の神馬たちは毎月3度、以下の日に紫色の生地を白くぬいた菊花紋章の馬衣をまとい、神前に牽参(けんさん)す〜る。
- 1日、12日、21日
神馬とは?
「神馬(しんめ)」とは神が乗る馬として神馬と呼ばれます。神馬を奉納する理由は神へ乗り物を奉納することで、その神徳やご加護にあやかろぅという意味合いがあります。
神馬は神様に仕える馬であり、白い毛色をしています。
古来、白い色の動物は「清浄」などの意味合いもあり、神様の神使として神格視されていました。
神馬は神が乗る馬なので皇族を除いて、基本、人が背に乗ることはできません。
御厩は内宮と外宮それぞれに一つずつある!
伊勢神宮の「外宮の宮域」と「内宮の宮域」には、それぞれ1つ御厩があります。(内宮のみ宮域外に、もぅ1つ御厩がある)
伊勢神宮の神馬の頭数
伊勢神宮には、内宮と外宮に合計で4頭の神馬がいます。
- 内宮の御厩:2頭の神馬
- 外宮の御厩:2頭の神馬
伊勢神宮には神馬がいますが、小さい規模のコジんまりとした神社であれば、木製の神馬に塗装が施されて、「神馬像」として小さい社殿に安置されていることがあります。
他にも太宰府天満宮などであれば境内に「絵馬堂」といって絵馬を神馬の代わりに奉納する建物もあります。
御厩に神馬がいない理由
伊勢神宮宮域の御厩に神馬がいない理由としては、参拝者が多い時間帯にはおおむね別の所にいるからです。
内宮の場合は「内御厩(うちのみうまや)」と「外御厩(そとのみうまや)」と御厩が2つあり、このいずれかにいると思われますが、このいずれかにいない場合は「神馬休養所」という馬房にいます。
「外御厩」の場所は火除橋の近くです。「内御厩」は神楽殿の前あたりになります。(詳しい場所は下記参照)
「神馬休養所」は内宮と外宮にあって内宮は神宮司庁の敷地内にあります。外宮の神馬休養所は外宮宮域外の「山田工作所の付近」にあります。
注意点としては「神馬休養所」はいずれも一般参拝者の見学不可です。ただ、ジぃ〜っと待っていればそのうち神馬に出会えるかもしれません。
神馬休養所
神馬休養所には神宮直属の厩務員が常駐し、日々、馬の管理を行っています。馬の体調は突如、変化することもあることから休養所の隣に住居を移し、四六時中管理ができるようにしているとのことです。
神馬は基本、朝6時と午後3時の2回にわたって主食となる食事を摂ります。
他に正午と午後6時の2回にはオヤツとして干草をシコタマ腹にブチ流ししているようです。
神馬たちが食べるもの
- 牧草を固形にしたもの
- 燕麦(えんばく/イネ科の植物)
- 麩(ふすま)
- チップにした「とうもろこし」
- 栄養剤
- 塩
神馬をじっくりと見学する方法
神馬を間近でじっくりと見たい場合は「ある時間帯」を狙う必要があります。
その「ある時間帯」や「神馬」のことに関しては以下↓の当サイトの別ページにてご紹介しておりますので、ソチラをご覧ください。
神馬が神社にいる理由
しかし、神宮に馬がいることに疑問を抱いてしまう方も多いでしょう。
一見すると、神馬と神宮に関しては、つながりが無いように思われます。
しかしこの理由には諸説あって、その中の1つの説として「古の時代の神社の法律において定まっている」とする説があります。
「古の神社の法律」とは、平安時代に朝廷によって作成された「延喜式(えんぎしき)」と呼ばれる古文書に記載されており、その中身は以下↓の通りです。
- 雨を願うときには黒毛の馬を献納すべし
- 晴れを願うときは白い馬を献納すべし
との記載があるようです。(延喜式3巻26条)
さらに、他の説としてこんな説もあります。
昔の武士たちは大事な合戦の前に、戦勝を祈願して馬を神社へ奉納したそうです。
つまり、これら昔の時代の風習が、近代化された現代においても踏襲されていることになります。
伊勢神宮にはいつ頃から神馬が奉納されはじめた?
伊勢神宮へ神馬が奉納され始めたのは、奈良時代の頃になるそうです。
以降、平安時代までは神嘗祭(かんなめさい)を執り行う度に神馬が奉納されたいたそうです。
鎌倉時代になって武士が台頭する時代になるとこの慣習は廃絶したようですが、代わりに武家や皇室から祈願のために馬が奉納されたようです。
すなわち何らかの方法で神馬が奉納されてきたことになります。
明治時代以降、皇室からの奉納が儀式化される
明治時代を迎えると再び天皇主権の世の中になり、1869年(明治2年)以降から前代の神馬が亡くなったタイミングで新たな神馬が皇室から奉納されるようになっています。
新たな神馬が神宮へ奉納されると、神宮では「神馬牽進式(みうまけんしんしき)」が儀式的に執り行われます。
白い動物が神格視される理由
まず、人間においての白い物と言えば、伊勢神宮の神職の方々の衣装も、基本は「浄衣(じょうえ/白無垢)」で統一されています。
特に日本においての白色は、古来から「最も尊い色」とされており、高いの身分の人物しか、着用が許されなかった配色であると云われます。
動物においての有名どころでは「お稲荷さん(稲荷大神)」の神使である「白色の狐(キツネ)」がいます。
また鹿島神宮に御鎮座されている「武甕槌大神(たけみかづちのかみ)」の神使である「鹿」も「白色の鹿」とされています。
武甕槌神は奈良の春日山に白鹿の背にまたがって降臨したとされ、以後、その降臨した場所に社が造られ、今日に至っては「春日大社」と呼ばれています。
奈良公園の鹿のルーツはこの武甕槌神が乗ってきた白鹿であると云われています。
今度は世界に焦点をあててみましょう。
「タイ」や「インド」といった海外の国でも「白い像」が神格化されて崇められています。
特に仏教の盛んな国「インド」では「ガネーシャ」と言う神様がいて、この神様は「白色の像の姿」をしています。
これらの白色を尊ぶ傾向は、「古代ギリシャ」が発祥とされており、西洋から→インド、インドから→中国へと流入し、そして、仏教とともに日本へ伝来したのが始まりとされています。
なお、神宮にも、まだ白い色の動物がいます。
忘れていけませんゼ!旦那!「愛くるしく可愛ぃ♥神使のニワトリ君」を!
白色の動物が神使である例
- 「白い蛇」➡️七福神の弁財天
- 「白いネズミ」➡️七福神の大黒天
- 「白い狐」➡️稲荷大神(お稲荷さん)
- 「白鹿」➡︎武甕槌神
- 「白鶏」➡︎天照大御神
ただ、この白い生き物の説に関しては、人間の神様に対する行き過ぎた妄想が、結晶化したように感じられます。
古来より、白い生き物は、吉兆をもたらし幸福を呼ぶされています。
しかし、近代化された現代においても「生命の起源」と言うものの実証が、確たる根拠に至っていないのであれば、生きとし生ける物は、皆すべて「神の子」と言う解釈になります。
つまり「白い色じゃないから..プぃっ!」・・なんて顔を反らすのはやめましょう。ウフ
御厩の場所(地図)
内宮の御厩の場所
内宮の御厩は2つあります。1つ目(外御厩)は参集殿付近の火除橋付近。2つ目(内御厩)は神楽殿授与所の前にあります。
外宮の御厩の場所
外宮の御厩は裏参道の衛士見張所から火除橋を渡って、火除橋とその先に見える鳥居の間にあります。