伊勢神宮(-JINGU-)◆ 五丈殿(GOJO-DEN)
創建年
- 不明
建築様式(造り)
- 切妻造
- 平入
屋根の造り
- 二重板葺き
五丈殿の読み方
伊勢神宮・内宮・外宮と通して、境内にはいくつかの「~丈殿」といった建物が多数見ることができます。
そして、この建物もその内の1つで「五丈殿」といいます。
五丈殿の読み方は「ごじょうでん」といいます。
五丈殿のスグ近くに「九丈殿」と称される似たような造りの建物がありますが、この建物は外宮だけにしかない建物で、五丈殿とは、また違う建物になります。
そして、この「九丈殿」から見て垂直(直角)の方向に造営されている建物が「五丈殿」です。
ちなみに、この五丈殿は内宮と外宮に存在する建物です。
伊勢神宮・五丈殿の役割り
内宮・外宮の五丈殿では、正宮と別宮以外の、外宮にある小規模な神社「摂社(せっしゃ)・末社(まっしゃ)・所管社(しょかんしゃ)」の祭祀(さいし)を行っています。
そして、神宮における「式年遷宮(しきねんせんぐう)」の祭事の時には、「饗膳(きょうぜん)」と呼ばれる「酒や肴(さかな)」で、お祝いをする儀式が執り行われます。
この饗膳の儀式では、遷宮に関わる神宮の関係者たちで、「神饌(しんせん)」や「御神酒」を授かります。
他にも「五丈殿」では、雨天などの天候の悪い時に、お祓いの神事や神饌などを清める儀式「修祓(しゅうばつ)・大祓(おおはらい)・遙拝(ようはい)」などを執り行うことがあります。
外宮の場合は、五丈殿と九丈殿が併設されていますが、ほとんど五丈殿と同じような目的で造営された建物といえます。
さらに外宮の場合、五丈殿と九丈殿の前には、「大庭(おおば)」と呼ばれる大きな広場があります。
ここでは式年遷宮の準備の段階で次のような事柄や祭事が行われます。
五丈殿・九丈殿で執り行われる「式年遷宮式」
御樋代木奉曳式
日本の各地にある宮内庁管轄の「神宮備林(じんぐうびりん)」において、伐採(ばっさい)された御用材は、内宮・外宮に運ばれます。
そして外宮では、「五丈殿」前の大庭で一時保管されます。
これは、「御樋代木奉曳式」と呼ばれる祭事で、読み方は「みひしろぎほうえいしき」と読みます。
木造始祭
式年遷宮の造営工事を始める前に、作業の安全を祈る祭事があります。
これは「木造始祭」というもので、読み方を「こづくりはじめさい」と読みます。
この儀式は、一般的には「起工式」にあたるものです。
酒や肴で、もてなす儀式をした後で「五丈殿」前の大庭で、家屋の守り神とされる「屋船大神(やふねのおおかみ)」をお祀りします。
そして、上記の「御樋代木奉曳式」で、一時保管した御用材の前で、造営庁の技師などが、「手斧(ちょうな)」を、打ちいれるしぐさを行い、「木造始祭」が始められます。
杵築祭(竣工式)
新しい御正殿がほぼ完成すると、「白い杖(つえ)」で、柱の根もとを突き固めて、その安泰(あんたい)を祈念する祭があります。
それは「杵築祭」と呼ばれるもので、読み方を「こつきさい」と読みます。
杵築祭は、旧御正殿から新御正殿へ御神体を移す、「遷御の儀(せんぎょのぎ)」の前に行われます。
これは、一般で言うところの、いわゆる「竣工式(しゅんこうしき)」です。
饗膳の儀
そして、この祀りに先立って竣工を祝う、料理でもてなす「饗膳(きょうぜん)の儀」がありますが、これは、「五丈殿」前の大庭で行われます。
このように、「九丈殿」と「五丈殿」は、その前にある石の広場(大庭)とともに祭事や、重要な祭事の前に活用されています。
同様に内宮でも五丈殿の傍にある広場で「式年遷宮式」が開始されます。
伊勢神宮 内宮・外宮の「五丈殿の場所」と「オススメの参拝ルート」
伊勢神宮・内宮の五丈殿の場所
神楽殿の奥。由貴御倉・御酒殿と併設されています。
内宮のオススメ参拝ルート
伊勢神宮・外宮の五丈殿の場所
北御門から入って「御厩(みうまや)」の奥、九丈殿の手前に位置しています。