【式年遷宮で社殿を建てる際の材料となるヒノキ】調達場所や使用する条件(樹齢や太さ)とは❓

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伊勢神宮では、遷宮時の社殿を造り替える材木を、本来であれば伊勢神宮の神域や、その周辺の山々(神路山など)にそびえる巨木を使用することで賄われてきました。

※注釈※=巨木とは樹齢800年から900年ほどのヒノキを指し示します。

ちなみに神宮では遷宮のために用材を切り出す山のことを「御杣山(みそまやま」と呼ぶ。

しかし、ここ近代に至っては、自然災害などの影響もあって、神域の木の数が従来よりも激減しており、さらに神宮の神域の木が昔のように育成していない状況にあります。

つまり、現在の神宮神域内におけるすべての社殿を造り替えるほどの量の材木が、確保できないことになる。

神宮備林

そこで江戸期以降、現在に至るまで、「神宮備林(じんぐうびりん)」と呼ばれる「信州・長野県木曽郡周辺のヒノキ」を主に使用して社殿の造り替えを行っています。

「神宮備林」とは「帝室林野局(現在の宮内省・林野庁)」が指定した森林でもあり、すなわち、国有林としての側面を持っています。

現在、神宮では1923年(大正12年)に「神宮森林経営計画」を打ち立てて植林を行っていますが、これらの木々が育ち用材として使用できるまでには約200年!はかかると言われています。

「200年」と言えば途方もない年月ですが、あと200年経てば、その後は従来通り半永久的に御杣山から用材を切り出すことができます。

伊勢神宮の遷宮で使用される素木について

伊勢神宮で使用される素木について

伊勢神宮で使用される素木(丸太)ですが、なんと!木を切ってそのまま使用するのではなく、2年から3年もの間、水に浸けておくそうです。

2年から3年もの間、水に浸ける理由とは、一言でいうところの「乾燥」にあります。

つまり、水に浸けることによって乾燥させているわけなのです。

「水に浸けて乾燥?」

・・などと、思わず口からポロっと飛び出してしまいそうになりますが、実は水に浸けることによって、木の中にある「大量の樹液」を抜いているのです。

樹液を抜くと、木の性質として乾燥後に水分を含みにくく、ヒビ割れなどが生じにくくなり、数十年もの間の耐久性を備えることができます。

水に2年から3年浸したあとは再び地上へ揚げて、そこからまた1年ほど乾燥させます。

このように社殿の造り替えには、たくさんの知恵(技術)と時間、そして、人の力が必要になっています。

まさに、労働という苦労を伴いながらも「遷宮」という大きな目標に向かって、人と人が織りなす壮大なドラマと言い換えることができます。

ところで、古い社殿の材木はまさか・・捨てる??

現在、遷宮で使用される用材の数は約1万3000本、このうち「木曽産のヒノキが77%」、「内宮・外宮周辺の山々のヒノキが23%」の割合で使用されたらしい。(※平成25年の遷宮時の統計)

木曽産のヒノキは強度があり最高級品質であることから、御正殿や社殿などに使用され、それ以外の部位、例えば御垣(垣根)などには間伐材が使用される。

しかし、遷宮で新しい社殿が完成すれば、以前の社殿は必要がなくなります。

そこで解体作業が行われますが、問題は「解体された後の古材をどうするか?」です。

古材は全国の諸所で再利用される

古材と言えども20年に渡って社殿を守り、はたまた多くの人々の信仰の念が寄せられ、多くの神徳を帯びています。

よって捨てるのは大変、バチあたりな行為であり、はたまた最高級品質のヒノキなので、まだまだ使用ができます。

また、再利用を促進することで森林を不当な伐採から守ることもできます。

そこで古材たちには、「再利用」という形で新たな人生のスタートが待っています。

例えば、神域の宇治橋の鳥居は前回の遷宮時の古材が使用され、さらに宇治橋の古材は、伊勢亀山に現存する「関の追分(せきのおいわけ)の鳥居」、もしくは同じ伊勢桑名の「七里の渡しの鳥居」に使用されます。

他は日本各地にある神社の社殿改築にも利用され、およそ60年ほど繰り返し利用されていると言います。

これら様々な場所で繰り返し利用されている事実をもってしても、神宮の社殿に使用されているヒノキが「最高級のヒノキ」と言われる所以が理解できるというものです。

神社仏閣建築では、なぜヒノキ(檜)が使われるのか?

神社やお寺の建築でなぜ、ヒノキ(檜)が使われるのか?近年においては、立て続けに国民的人気を誇る、2大スターともいうべきお社が、ほぼ同時期に遷宮の時期を迎えています。

「2008年(平成20年)4月に出雲大社」

「2005年(平成17年)10月に神宮」

遷宮の開始時期は異なりますが、双方のお宮の遷宮式が、2013年度に同時に執り行われています。

この双方のお社の遷宮の木材に関してですが、2つのお社とも「檜(ヒノキ)」が使用されています。

また、奈良・法隆寺を代表とした古代木造建造物にもヒノキが多数使用されています。

なぜ、ここまでヒノキが重宝されるのでしょうか?

まず、社殿やお堂の造り替えを行うには、たくさんの木材が必要になります。

また工事の期間も何年とかかります。

すなわち、使用する(伐採する)木材量の限界や、人足の関係、時間(期間)などからみても、何度も簡単に建て替えができないといったことになります。

つまり、1度造り替えをすれば、その後、何十年と建物を維持しなければなりません。

そこで、耐久性を兼ね備えた木材が必要になってきます。

このような諸条件に適した木材こそが「ヒノキ」だということです。

ただし、ヒノキは強度はあるのですが、その半面、諸刃の剣として「燃えやすい木」としても有名です。別名で”火の木”とも呼ばれているほどです。ヒノキが燃えやすいのは、油分を多く含むからです。

伊勢神宮では、特に御神体をお収めする「御樋代木(みひしろぎ)」と呼称される器に関しては、木曽産のヒノキを使用するように定めているようです。




ヒノキの特徴

ヒノキの特徴↑ヒノキとヒノキの実

材質

  • 細胞が細かい
  • 他の木材と比較しても弾力性がある=揺れに強い
  • 軟らかいので「しなり」がある。
  • 水を吸って乾燥しても原型を維持できる
木の特性

  • 木目にゆがみがない
  • 虫(特にシロアリ)に食われにくい
  • 湿気に強い
  • 多数の特性を併せもつので、薬剤を用いたメンテナンスがあまり必要ない
  • 身体の芯まで染みわたるようなイイ匂いがする
  • 油分を多く含むので燃えやすい(古代ではヒノキの油分を利用して火力を調整していたほど)

このように多数の特性を持ち併せ、さらに何百年もの時を経ても、原型を損なわず維持できる木材は、ヒノキしかないとのことで、社寺建築には必ずといって良いほど、ヒノキが使用されています。

ただ、やはりヒノキの最大のデメリットとなるのが油分を多く含んでいることが挙げられます。

燃えやすいデメリットを知った上であえてヒノキを使用するのは、それだけ耐久度が他の材木にも勝るといったことでしょう。

【参考】遷宮1回分で使用する木材量と用意する敷地の大きさ

  • 用意する敷地の広さ:約1万立方メートル(東京ドーム約3倍)
  • 使用される木材の量:約10,000本
  • 使用木材:直径1.4mの樹齢500年ほどの巨木(ほぼヒノキ)
  • 遷宮総費用:約550億円
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